星が降りました
あれは、1984年の12月24日でした。山の入り口に「24日、25日、休業します」の札が出ています。車で登ること20分、標高840メートルのここは、小さな部落のようで、私のゴッドチャイルド、リカの家族、おじさん一家、おじいさんとおばあさん、牧畜農家の家族、先生一家が住んでいました。リカの両親とおじさん夫婦が共同経営するレストラン・ランデンハウスは一階がレストランで、二階と三階は、客室と経営者の住まいになっていました。レストランは、その日は、朝から、お掃除をして、ピカピカに磨き上げてありました。おじさんは、森に樅の木を切りに行き、帰ってくると、レストランの中の一番良い場所を選び、立てて、おかあさんが飾り付けを始めました。夫と私は、何度もこのランデンハウスを訪問、その時も、お邪魔していました。ツリーの飾りつけの間、私達は散歩に行きました。私達と言いましたが、誰と行ったのか、覚えていないのです。とにかく、夫は一緒でした。子供たちは、ツリーの飾り付けを手伝っていました。
その日の午後は、雲が低く垂れてきて、寒くなり、肩を丸めて出て行きました。いつもの散歩のコースで、レストランを出て、ぶなの森を通り、牧場を一回り、そして、ぶなの森に帰ってきたときでした。
何か、ちいさな白いものが降って来ました。霰かな・・・と思ってよく見たら、星の形をしていました。直径5ミリ程で、霰のような硬さで、本当に星の形をしているのです。「今夜は、星の降る夜!」と嬉しくなりました。おじいさんにも、こんなことは初めてだそうです。
赤茶けたブナの落ち葉に星型の珍しき雪今宵は聖夜
夕食は、リカのお父さんが腕をふるって「酢豚」を、そしておかあさんが「チャーハン」を用意してくれました。この組み合わせが、聖夜の特別メニューなのです。あの当時、中華料理屋は少なく、何処も高級でした。ランデンのような山の中で、それも聖夜に、中華を食べられる・・・と、皆が期待していた特別なご馳走でした。
クリスマスツリーは、きれいに飾られて、木の下には、美しく包まれた大小の箱が沢山置いてあります。まず、皆で、クリスマスの歌を歌います。それから、子供たちが一人ずつ、詩を暗誦したり、歌を歌ったり、チェロを演奏したりします。そして、やっと、プレゼントが渡されます。子供たちには、目の前のプレゼントが全世界で、そして、100%幸福なのでした。
その後、お隣の農家の牛小屋に行って、牛にクリスマスキャロルを歌って聞かせました。これは、農家の奥さんの提案です。イエス様は、洞窟の中でお生まれになり、そして、洞窟は家畜小屋として使われていたそうです。
星型の雪ちらつきて森しずむ家畜の小屋に聖夜を祝う
そして、翌朝、私達が寝ているところに、子供たちが夫々、前日に貰ったプレゼントを見せに来てくれました。ランデンはジュラ山脈の延長先にあり、と、いう事は、ジュラ紀の化石が簡単に見つかります。リカの弟は、石が好きで、プレゼントにつるはしをもらったので、かついで見せに来てくれました。いとこは、スキー一揃いをもらったので、靴とスキーを履いて、バタンバタンと歩いてきて、見せてくれました。
レストランの台所に降りていきますと、農家の奥さんの焼いたパンが、プレゼントとして、置いてありました。バラの花の形をしたものが、20個くらい、くっつけてあって大きな丸いパンになっていて、小さなろうそくが立っている、手作りのプレゼントです。
昼食には、登ってきた親戚の人達も参加して、洋食。真っ白なテーブルクロスに、樅の枝で飾りつけがしてあり、星型の飾りがテーブル一杯に撒き散らしてあります。そして、リカのおばさんが、ワインをサービスしてくれました。豪華ですね。
その後、散歩、夫が先頭に立って行きます。親戚の人達も、子供たちも一緒に来ます。親戚の人達と、歩きながら、のんびりとおしゃべりをするのは、一年に一度のクリスマスの時、家族の事、仕事の事など近況を交換します。子供たちは、大人の周りを走ったり、先に行ったり、又戻ってきたり・・・。こうやって、クリスマスは過ぎていきました。
私たちが普通知っている雪は、結晶同士がくっ付いたものだそうです。ですが、北海道の大雪山では、西風が乾いていて、雪は結晶がバラバラで降るそうです。ランデンで降った星型の霰の由来をご存知な方はいらっしゃいませんか?
2008年12月5日のブログ「サンタクロースの日」でも、ランデンをご紹介しましたので、今回で二回目です。
次回は、迷いに迷って決心、身辺整理をした話です。
雪子
テキストや、日本語に間違いがあったら、どうぞ、直してください。ご意見もお待ちしています。
まず、「コメント」をクリック、「コメントする」まで辿りついたら、「ニックネーム」と「本文」を書き入れます。最後の「コメント(会員用)」と「コメント」がありますから、「コメント」の方をクリックしてください。





この記事へのコメント